シェアリングエコノミーブログ

今流行りの「シェアリングエコノミー」をいろんな角度から分析しました。

第7回「IoT」と「シェアリングエコノミー」

 ・目次

1. Indutrial IoTとは

2. シェアリングエコノミーへの影響

 C2C貸借り→B2C貸借り

 C2C売買→B2C貸借り

 

 

 

あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(Internet of Things)と、シェアリングエコノミーは、ともに近年急激に認知の広まっているバズワード(流行語)ですが、

意外と二つの関係性などについて触れられることは少ないと思います。

 

しかし、私はIoTとシェアリングエコノミーは深く関わりのある要素だと考えています。 

IoTの中でも、特にIndustrial IoT(産業分野のIoT)いわゆるIIoTと呼ばれる分野が、シェアリングに対してもっとも強い影響を与えると思います。

 

 

1.Industrial IoTとは

二つの関係性についてお話しする前に、少しIIoTについてお話しさせていただきます。

Industrial IoTとはその名の通り、産業分野におけるIoTの総称です。

 

産業におけるIoTというと、どうしても工場内の製造工程の効率化、というイメージを持ちがちですが、実は、「IIoT」という言葉には、もっと広義な意味があります。

 

アクセンチュア「グローバルCEO調査2015※」によると、

日本では多くの経営者が、IIoTを「オペレーションの効率化/生産性向上」に貢献するものとして捉えているのに対して、

日本以外の企業の経営者の多くが、IIoTを「新たな収益源の創出」に貢献するものとして捉えています。

つまりIIoTは新たな収益源、延いては新たな価値の創造をもたらすものだと考えられているのです。

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(http://ascii.jp/elem/000/001/024/1024473/)

  

またこちらの記事の中には、

IoTではなく『IIoT』としているのは、IoTがインダストリーの範囲まで波及していることによる。『SMACS(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド、センサーネットワーク)』によって、2つの大きな競争が複合的に起き始めており、あらゆる企業が『モノ売り』の事業モデルから、『モノ+サービスによる成果を売る』事業モデルへと展開している」(清水氏)

と記されてます。

 

つまり、既存の物販販売だけではすでに競争を勝ち残ることは難しく、製品にサービスを付加した販売手法が求められているということが言えます。

既存のように製品製造のみを行うのではなく、同時並行でサービスの構築が必要となってきます。

 

このことからIIoTは、サプライチェーンの製造部分のみの話ではなく、ユーザーへの価値提供の部分までも含めた広い範囲での変革をもたらします。

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世界ではすでに幾つかの例が登場しています。

例えば、フランスの大手タイヤメーカーのミシュランは、タイヤを使用した分だけ使用料を請求する「Tire as a Service」というサービスを提供しています。

このサービスは、タイヤに内蔵されたセンサーがユーザーの使用状況を把握し、請求額を明確にすることで可能になります。

このように、単にモノをインターネットにつなげるだけではなく、そこから得られた情報を使用して、サービスと紐付けるIoTが今後普及してくると考えられます。

 

 

2.シェアリングエコノミーへの影響

このIIoTの潮流は、シェアリングエコノミーに対してどのような影響があるのでしょうか? 

 

下のグラフは「 第2回 シェアリングエコノミーとは?」の回でお見せしたモノのシェアリングの区分です。

 

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上側がC2Cつまりユーザー同士の取引で、下側がB2Cつまり企業とユーザーの間での取引です。

また、左側は貸借の取引で、右側は販売の取引です。

 

このように区分けいたしましたが、IIoTの登場によって、C2C領域のサービスは、多くがB2Cの貸借り領域に集約されていくと考えられます。 

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C2C貸借り→B2C貸借り

IIoTが進めば、人々は家や車でさえも所有をしなくなると考えられます。

車は駐車場に止めるものではなく、必要な時にだけ呼んで乗るものとなり、

また、突拍子のない話にも聞こえるかもしれませんが、特定の住居を持つことが当たり前ではなくなり、

日によって住居を転々とするノマド的をする人が増えるかもしれません。

そうなった時、現在のように所有しているもののシェアリングという考え方は、すでに過去のものとなり、

所有すらせず、必要な時にだけアクセスできるようなオンデマンドサービスが主流になります。

 

C2C売買→B2C貸借り

また、現在はオンラインマーケットプレイスで行なわれているC2Cの売買に関しても、

先ほどのミシュランの例のように、センサーを用いて使用状況を把握できるため、

使用量に応じて、対価を支払う価値提供の方法が可能となります。

その結果、製品が最低限の価値を提供するものとなるため、人々がシェアできる余地は限りなく小さくなると考えられます。

 

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別の言い方をすると、たとえフリマなどで購入したとしても、購入した後も使用した分だけ課金されるので、

C2Cマーケットプレイス上でやり取りされる製品の価値は、限りなく0に近づくと思われます。

ゆえに、大部分はB2Cの貸借りのサービスとして集約され、二次流通のプラットフォームが生み出す価値は逓減すると思われます。

 

以上のように現在のC2Cがメインのシェアリング業界は、B2Cの貸借り、つまり必要な時にだけ価値を提供するオンデマンドサービスが今後市場を席巻するのではないかと考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

また今回は、あくまでもIIoTが相当進んだ未来を想像した世界で何が起きるかという考察なので、実際のサービスの良し悪しを判断するものではございません。ご了承ください。