第4回 シェアリングエコノミーの可能性
目次
・既存の経済概念について
1. 資本主義の登場
2. 社会主義の台頭
3. 資本主義、社会主義の利点、欠点
・共有経済(シェアリングエコノミー)がもたらす可能性
今回はちょっと経済学的な視点からシェアリングエコノミーを見てみます。
その前に、まずはちょっとだけ経済のお話。
既存の経済概念について
資本主義と社会主義の違いはご存知でしょうか?
そんなもの知ってるよ、という方は読み飛ばしてください。
1.資本主義の登場
資本主義の経済理論は、18世紀後半イギリスで起きた産業革命をきっかけに成立しました。
資本主義の特徴は自由競争により経済活動を行えば、社会全体の利益も増大していくという考えに基づいているという点です。
また、個人や企業が生産手段を保有し、労働者を雇うことで生産を行い、生産された製品を市場で販売します。
特に国家の介入がなくても市場の原理に任せていれば、需要と供給のバランスによって自然と市場価格が決まり、
生産者の生産量と消費者の購入量が決定されるという考え方が「市場経済」と呼ばれます。
この考え方の元では、経済活動を行うほど、富を得るチャンスがあるということになります。
2.社会主義の台頭
しかし、19世紀後半になると、不況による失業や貧富の差の拡大といった資本主義経済の弊害が明らかになります。
ドイツの経済学者のマルクスはこの資本主義経済の抱える矛盾を指摘し、社会主義経済を提唱しました。
社会主義経済の元では、個人、企業による私有財産制と利潤の追求は否定され、国家や地方団体、協同組合などによって生産手段が公有されます。
資本家、労働者という階級を廃し、すべての人を労働者として平等に扱う社会を目指したのです。
これによって経済の問題点は解決されたように思われました。しかし国が管理した通りに経済活動が行われるため、労働者がいくら頑張っても賃金が上がらなくなってしまいました。
その結果として労働者の労働意欲を奪い、生産性を低下させ、経済が停滞してしまいました。
3. 資本主義、社会主義の利点、欠点
以上の事から、資本主義と社会主義のそれぞれの利点、欠点は以下のようにまとめられます。
共有経済(シェアリングエコノミー)がもたらす可能性
それぞれの経済のメリット、デメリットを見たところで、本題のシェアリングエコノミーの可能性について見てみましょう。
結論から言いますと、
シェアリングエコノミーは資本主義、社会主義双方への期待を満たすことができる
可能性があります。
富を多く持っている市民は、今まで企業が提供する商品、サービスを得るために多くの資産を使っていました。
しかし、シェアサービスを利用すると、富を持たざる市民に料金を支払うことになります。
今まで企業に対して支払っていたものを、直接別の消費者に還元することで、
企業側が享受していた恩恵を、消費者間の格差の是正に利用することができます。
例えば、uberのドライバーがライダーから料金を支払われるごとに、またはairbnbのホストがゲストから宿泊料を支払われるごとに、社会的格差は是正されていきます。
このようにしてシェアリングエコノミーは、資本主義経済の自由競争を実現しつつ、社会主義経済の示す平等な社会を実現に近づけることが出来るのではないでしょうか。