シェアリングエコノミーブログ

今流行りの「シェアリングエコノミー」をいろんな角度から分析しました。

第9回今後のシェアリング業界の可能性

目次

・既存事業者との共存

・シェアリング業者の統廃合

・シェアリング経済圏の形成

 

新年あけましておめでとうございます。

ようやくものぐさモードを脱し、筆を取ろうと思い立った今日この頃です。

今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

 

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①~③までの数字はそれぞれ

①既存事業者との共存

②シェアリング業者の統廃合

③シェアリング経済圏の形成

を表しています。

 

 

①既存事業者との共存

昨今シェアリングサービスがブームになっているとはいえ、既存の事業者がなくなるわけではありません。

まず既存事業者とどのように共存していくかが一つ目のポイントになります。

ここでいう既存事業者とは、ライドシェアサービスでいうところのタクシー事業者や、民泊サービスでいうところのホテル事業者が該当します。

 

例えばUberなどのライドシェア事業者は、タクシー業者の顧客を奪い取る可能性があるため、競合の関係性にあります。

実際東京では、2017年の1月30日より初乗り料金を、以前の初乗り700~730円から最初の1kmまでが410円に引き下られました。

またAirbnbなどの民泊事業者は、ホテル業者の宿泊客を奪う可能性があるため、ホテル業界から批判を浴びています。

 

しかし、シェアリングサービスが既存事業者をすべて飲み込む可能性は低いと考えられます。

やはりシェアをすることに抵抗を感じる層は、性別、年齢、人種問わずいますし、

また消費者が所有しているものよりも、事業者が提供しているものの方が安心感やクオリティが高いという期待が存在しているためです。

 

そのため、シェアリング事業者と既存事業者は価格的、法的な落とし所を探りつつ、

共存していくことが最も可能性の高いシナリオと考えられます。

 

まずは価格面での落とし所を考えてみると、可能性として考えられるのは

シェアリングサービスの方が、既存事業者よりも提供価格が低いということです。

参考としてホテル事業者と、民泊事業者の1顧客あたりの収益構造を比較してみました。

収支構造比較(宿泊) ホテル vs Airbnb

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この他にも、物件の維持費用などの固定費がかかってきますが、変動費用だけで比較しても、ホテル事業者が5割ほどの変動費がかかっているのに対して、民博事業者はほとんど変動費が発生していません。

 

ここから民泊業者の低下価格での宿泊施設提供に対して、ホテル業者が対抗して低価格のホテルを提供することには必ず限界があるということが分かります。

結果的に、低価格のホテルは民泊事業者に淘汰されていき、高価格、高付加価値のホテルが民泊事業者との差別化に成功し、生き残っていくと考えられます。

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②シェアリング業者の統廃合

現在はシェアリングブームということもあって、似たようなサービスがいくつも乱立していたりします。

しかし、おそらく今後は必要な形態に集約されていくのではないかと考えます。

 

インターネット売買の例を見てみます。

インターネットでの売買には大きく分けて2つの形態があります。「ヤフオク!」に代表されるネットオークションと、「メルカリ」に代表されるネットフリマです。

両方ともネット上で売買を成立させ、売り手が買い手に発送したのちに金銭の授受が行われる、という基本的なサービスフローは同一つです。

しかし、ユーザー体験として売買成立までの待ち時間や、ユーザーインターフェースの作りであったり多々違いがあります。

 

それはメインに利用しているターゲットの違いに起因します。

 

日経新聞の調査によると、

ネットオークションは「40代男性、50代男性、30代男性」の順で利用者が多いのに対し、

ネットフリマは、「10代女性、20代女性、30代女性」の順で利用者が多いというデータがあります。

(参照:日経データディスカバリー https://vdata.nikkei.com/datadiscovery/20shopping/)

ここからネットオークションは中高年の男性ネットフリマは若い女性がメインのターゲットになっているということが読み取れます。 

同一のサービスでも、提供の方法やユーザーからのサービスの見え方によって、必要な形にが区分され、集約していくと考えられます。

 

 

③信用の共有

シェアリングサービスはプラットフォームを運営するという事業形態上、とても参入のしやすい業種のように見えますが、実は大きな参入障壁があります。それは「信頼」です。

厳密に言うと、信頼は事業者側への信頼と、ユーザー同士の信頼の二つがあると考えられると思いますが、基本的には表裏一体の関係にあると考えられるので、ここでは同一のものとして語ります。

例えば、もしライドシェアサービスを1から始めようとした人がいたとして、今の市場で成功することはあり得るのでしょうか?可能性はゼロではないかもしれませんが、かなり厳しい挑戦になることが予想されます。

それはuberという、事業者として信頼を持ち、なおかつ莫大な量のユーザーの信用情報を持った事業者が存在するためです。

このような参入障壁が、現行のシェアサービスへの新規参入を阻んでいる生命線だと考えています。

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また、これは各サービスの参入障壁としてだけではなく、シェアリングサービスの経済圏の形成を助長すると考えられます。

 

つまり、今まではAさんがuberのアカウントとairbnbのアカウントを両方持っていても、別のuberユーザーから見るとAさんのairbnbでの信用情報は分かりませんでした。

しかし、サービス事業者間で信用情報の共有が行われることで、他のサービスでの利用評価が紐付けられるようになるのです。

このようにして特定のサービスの単一的な信頼ではなく、様々なサービスから多面的に信用情報を判断することができるようになると思われます。

 

それではその中心となるアカウントは一体何になるのでしょうか?

 

扱う情報の特性上、公共性の高さが必要になるので、マイナンバーなどが考えられるかもしれません。

しかし、マイナンバーは国が主導で行っており、事業者との連携がうまく行くかは未知数です。また、グローバルなサービスとの連携が必要となるため、日本国内で限定的に交付されているマイナンバーでは難しいと言わざると得ません。

 

なので、私が大本命と考えているのはfacebookアカウントです。

facebookは他のSNSと比べても公共性が高く、またすでにuberairbnbなどシェアリングサービスのアカウントとの連携も行っているので、最も中心となる可能性が高いアカウントではないかと考えています。

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LINEモバイル

第8回 レンタルモデルへの切り替えに伴う企業判断

目次

 ・レンタルビジネスのチャンスとリスク

 ・レンタルの切り替えに伴う構造変化

 ・レンタルビジネス参入への判断基準

 

 

前回の話でIoTと、シェアリングの関係性を確認しましたが、

C2Cシェアリングサービスの多くは、IIoTの発展によりB2Cのオンデマンド(レンタル)サービスに移行すると考えられます。

その際に企業(B)的立場から見ると、どのように販売のモデルからレンタルのモデルに切り替えを行うかが重要となってきます。

 

レンタルビジネスのチャンスとリスク

一つ重要な観点として、レンタルモデルに移行することは、企業側にとってチャンスリスクを共にはらんでいるということがあります。

 

ここでいうチャンスとは、購入は高すぎてできないけど、レンタルだったら使ってみたいというユーザー層の獲得です。

例えば、売価10万円の掃除機があったとして、「一括では買わないが、一ヶ月1,000円のレンタルだったら借りたい!」というユーザーがこれに属します。

便宜的にこれらのユーザーを「ポテンシャル層」と呼びます。

 

逆にリスクは、今までは購入していた層の一部がレンタルへと移行することです。

「今までは10万円を出して購入していたけど、そんなに頻繁に使うわけではないから、レンタルにしようかしら」というユーザーです。

これらのユーザーを「移行層」と呼ぶことにします。

 

 

レンタルの切り替えに伴う構造変化

さて以上の情報をまとめると、レンタルの切り替えに伴う変化は、以下のイメージのようになります。

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さてここで、購入モデルの際の購入層を100%ととし、レンタルモデル導入後の移行層の割合をa、ポテンシャル層の割合をbとする。

すると以下のようになります。 

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また、購入モデルの際の売価をx円とし、

レンタルモデルの際の単価をy円、一人当たりに対しての課金回数をr回とする。

 

本来であれば、レンタルモデルに切り替えることにより、

物流費や、オペレーション費用などの経費が発生する可能性がありますが、

一度それは置いておきます。

 

レンタルビジネス参入への判断基準

さて企業が、今まで通り販売モデルのみでいくのか、それともレンタルモデルを導入するのか、判断をする際の指標として、以下の式が考えられます。

 

損益分岐:(a+b)yr = ax

 

左辺(a+b)yrは、レンタルモデルにしたことによって得られる売上

右辺axは、レンタルモデルにしたことによって失われる売上です。

 

つまりこの等式が成り立つ時、得られる売上と失われる売上が等しくなるため、

レンタルモデルにしても、企業の売上は変わらないと言えます。

 

企業としてはレンタルモデルに切り替えることで、売上を上げたいと考えるので、

(a+b)yr > ax

が成り立てば良いことになります。

 

この中で企業側が決定できる要因は、レンタルの単価yなので、式を変形すると

 

y > ax/(a+b)r  ・・・(1)

 

となります。

 

 

例) 先ほどの10万円の掃除機の場合を考えてみます。

購入からレンタルに移行する「移行層」が10%

レンタルモデルに変わり新たに使用し始める「ポテンシャル層」が30%

1人の顧客に対しての課金回数が5回と見込まれていたとすると、それぞれ

x=10万

a=10%

b=30%

r=5

となります。

 

この時(1)の式は

y > 10%*10万円 / (10%+30%)*5

   > 1/20 *10万円

   > 5,000円

となるので、レンタル代金を5,000円以上にすることが、レンタルモデルに切り替えて売上を増加させる条件となります。

 

今後レンタルモデルに移行する企業が増える中で、どのようにKPIを設定し、価格を決定していくかが非常に重要になっていきます。

 

 

第7回「IoT」と「シェアリングエコノミー」

 ・目次

1. Indutrial IoTとは

2. シェアリングエコノミーへの影響

 C2C貸借り→B2C貸借り

 C2C売買→B2C貸借り

 

 

 

あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(Internet of Things)と、シェアリングエコノミーは、ともに近年急激に認知の広まっているバズワード(流行語)ですが、

意外と二つの関係性などについて触れられることは少ないと思います。

 

しかし、私はIoTとシェアリングエコノミーは深く関わりのある要素だと考えています。 

IoTの中でも、特にIndustrial IoT(産業分野のIoT)いわゆるIIoTと呼ばれる分野が、シェアリングに対してもっとも強い影響を与えると思います。

 

 

1.Industrial IoTとは

二つの関係性についてお話しする前に、少しIIoTについてお話しさせていただきます。

Industrial IoTとはその名の通り、産業分野におけるIoTの総称です。

 

産業におけるIoTというと、どうしても工場内の製造工程の効率化、というイメージを持ちがちですが、実は、「IIoT」という言葉には、もっと広義な意味があります。

 

アクセンチュア「グローバルCEO調査2015※」によると、

日本では多くの経営者が、IIoTを「オペレーションの効率化/生産性向上」に貢献するものとして捉えているのに対して、

日本以外の企業の経営者の多くが、IIoTを「新たな収益源の創出」に貢献するものとして捉えています。

つまりIIoTは新たな収益源、延いては新たな価値の創造をもたらすものだと考えられているのです。

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(http://ascii.jp/elem/000/001/024/1024473/)

  

またこちらの記事の中には、

IoTではなく『IIoT』としているのは、IoTがインダストリーの範囲まで波及していることによる。『SMACS(ソーシャル、モバイル、アナリティクス、クラウド、センサーネットワーク)』によって、2つの大きな競争が複合的に起き始めており、あらゆる企業が『モノ売り』の事業モデルから、『モノ+サービスによる成果を売る』事業モデルへと展開している」(清水氏)

と記されてます。

 

つまり、既存の物販販売だけではすでに競争を勝ち残ることは難しく、製品にサービスを付加した販売手法が求められているということが言えます。

既存のように製品製造のみを行うのではなく、同時並行でサービスの構築が必要となってきます。

 

このことからIIoTは、サプライチェーンの製造部分のみの話ではなく、ユーザーへの価値提供の部分までも含めた広い範囲での変革をもたらします。

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世界ではすでに幾つかの例が登場しています。

例えば、フランスの大手タイヤメーカーのミシュランは、タイヤを使用した分だけ使用料を請求する「Tire as a Service」というサービスを提供しています。

このサービスは、タイヤに内蔵されたセンサーがユーザーの使用状況を把握し、請求額を明確にすることで可能になります。

このように、単にモノをインターネットにつなげるだけではなく、そこから得られた情報を使用して、サービスと紐付けるIoTが今後普及してくると考えられます。

 

 

2.シェアリングエコノミーへの影響

このIIoTの潮流は、シェアリングエコノミーに対してどのような影響があるのでしょうか? 

 

下のグラフは「 第2回 シェアリングエコノミーとは?」の回でお見せしたモノのシェアリングの区分です。

 

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上側がC2Cつまりユーザー同士の取引で、下側がB2Cつまり企業とユーザーの間での取引です。

また、左側は貸借の取引で、右側は販売の取引です。

 

このように区分けいたしましたが、IIoTの登場によって、C2C領域のサービスは、多くがB2Cの貸借り領域に集約されていくと考えられます。 

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C2C貸借り→B2C貸借り

IIoTが進めば、人々は家や車でさえも所有をしなくなると考えられます。

車は駐車場に止めるものではなく、必要な時にだけ呼んで乗るものとなり、

また、突拍子のない話にも聞こえるかもしれませんが、特定の住居を持つことが当たり前ではなくなり、

日によって住居を転々とするノマド的をする人が増えるかもしれません。

そうなった時、現在のように所有しているもののシェアリングという考え方は、すでに過去のものとなり、

所有すらせず、必要な時にだけアクセスできるようなオンデマンドサービスが主流になります。

 

C2C売買→B2C貸借り

また、現在はオンラインマーケットプレイスで行なわれているC2Cの売買に関しても、

先ほどのミシュランの例のように、センサーを用いて使用状況を把握できるため、

使用量に応じて、対価を支払う価値提供の方法が可能となります。

その結果、製品が最低限の価値を提供するものとなるため、人々がシェアできる余地は限りなく小さくなると考えられます。

 

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別の言い方をすると、たとえフリマなどで購入したとしても、購入した後も使用した分だけ課金されるので、

C2Cマーケットプレイス上でやり取りされる製品の価値は、限りなく0に近づくと思われます。

ゆえに、大部分はB2Cの貸借りのサービスとして集約され、二次流通のプラットフォームが生み出す価値は逓減すると思われます。

 

以上のように現在のC2Cがメインのシェアリング業界は、B2Cの貸借り、つまり必要な時にだけ価値を提供するオンデマンドサービスが今後市場を席巻するのではないかと考えます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

また今回は、あくまでもIIoTが相当進んだ未来を想像した世界で何が起きるかという考察なので、実際のサービスの良し悪しを判断するものではございません。ご了承ください。

 

第6回 シェアリングビジネスにおける「オーナー」と「ユーザー」の重要性

目次

・「提供する側」と「利用する側」どちらが大事?

①立ち上げ期

②スケール期

③スケール後

 

「提供する側」と「利用する側」どちらが大事?

個人間でのシェアリングサービスには、必ず「提供者」と「利用者」がいます。

(以下では便宜上「提供者 = オーナー」と「利用者 = ユーザー」と呼ぶことにします。)

 

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Airbnbであれば「オーナー = 家を貸し出す人(ホスト)」と「ユーザー= 家に泊まる(ゲスト)人」、

またUberであれば「オーナー = 乗客を車で運ぶ人(ドライバー)」と「ユーザー= 乗客(ライダー)」に分けられます。

このようにほとんどのシェアサービスでは「オーナー」と「ユーザー」が存在します。

 

 

さて質問です。

 

オーナーユーザー

よりサービスをスケールさせるために必要なのはどちらだと思いますか?

 

 

 

 

正解は、どちらも大事です。

 

 

これだけだと「ふざけるな!」と怒られてしまいそうなので、補足します。

 

 

シェアリングサービスの性質上、「オーナー」と「ユーザー」は、いわゆるニワトリと卵の関係にあります。

オーナー」がいるから「ユーザー」がいる、「ユーザー」がいるから「オーナー」がいるという二つの可能性があるということです。

よって次の二つの仮説があります。

 

仮説①

最初に物を貸し出す「オーナー」が生まれる → それを借りたいという「ユーザー」が現れる。

仮説②

最初に特定のものを借りたい「ユーザー」がいる → それを貸してくれる「オーナー」が現れる。

 

結果としては「オーナー」も「ユーザー」もなくてはならない両輪なのですが、

そのサービスがどれくらいスケールしてるのかによって、どちらがより大事かが変わってきます。

 

 

①ローンチ期

ことスタートアップ、特に立ち上げ時期においてどちらが重要かと問われれば、

間違いなくオーナーが答えになります。

 

サービス初期のまだ利用者が多くない状態では、まずはシェアリングが発生させるよう環境を整えることが大事です。

もしまだ十分なオーナーの数を確保できていない状態で、ユーザーを呼び込んでしまったらどうなるでしょう?

 

例えばUber初期の段階のユーザーが、配車しようと思ってアプリを立ち上げたのに、

マップ上に全く車がなかったらどう思いますか? 

落胆されるとともに、「こんなアプリ2度と使わない」と思われたり、

「全く使えないアプリ」とレビューを書かれる危険性すらあります。

これではどんなに需要のあるサービスでも、スケールすることはありません。

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逆に、オーナー側がしばらくの間、ユーザーとマッチングできなかったとしても、

登録の手続きなど行っている手前、しばらくは待ってもらえるはずです。

 

特にサービス初期では、顧客満足度が非常に重要な要素になってきます。

 

サービスをローンチして間もない頃のUberは、現在のように一般の自家用車ではなく、

リムジン車両とのマッチングサービスでした。当然顧客満足度は高まり、ポジティブな口コミが拡散されました。

 

これはまさに顧客体験の追求の重要性を示す良い例と言えます。

 

②スケール期

ローンチを経て、ある程度のオーナー数を確保できた時に、今度はユーザー確保の重要性が上がります。

ローンチ期にオーナーを獲得できていれば、ユーザー数と利用回数を増やしていけばいくほど、自然と収益を確保できます。

 

③スケール後

めでたくサービスがスケールし、多くの利用者を獲得したとしても、

これで安心という訳にはいきません。

ユーザーの獲得にばかり気を奪われていると、足元をすくわれかねません。

 

これもUberの例になりますが、Uberが2014年に日本への上陸を果たした頃、

シリコンバレーでは、Uberと同様のライドシェアを提供する「Lyft」というサービスが流行り始めてました。

Uberが生まれたシリコンバレーで、なぜ別のライドシェアサービスが流行ったのでしょうか?

その理由は、Lyftが取った戦略にありました。

Lyftは、すでにUberに登録しているドライバーにターゲットを絞り、

Uberよりも良い条件をドライバーに対して提示したのです。

 

これにより、UberからLyftへドライバーの流出が始まりました。

そして、多くのドライバーがLyftへと移った結果、Uberライダーが乗れる車の台数が減ったのです。

この結果、Uberを利用していたライダーも、Lyftへの利用へとシフトし、最終的にLyftのシェアが拡大したのです。

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この例からわかる通り、競合の参入に対抗するためには、オーナー(ここでいうドライバー)の満足が重要になります。

 

以上のように、オーナーユーザーの獲得の重要視は、サービスがどの段階にあるのかによって変わってきます。

 

第5回 流行の中に見るシェアリング

前回のお話はちょっと固い感じだったので、今回は別の角度からシェアリングエコノミーを研究します。

 

 

これってシェアリング!?

最近自分の周りには、いろんなシェアリングのサービスが出てきています。

また、シリコンバレーでは毎日新しいサービスが生まれてきているらしいです。

 

これだけシェアリングが流行っていれば、きっとサービスだけではなくて、

流行りの映画やドラマなどにもきっと影響があるだろうと思い、

もしかしてこれはシェアリングでは!?というものをピックアップしました。

 

 

 

 

救世主のシェアリング!?

救世主といえば、困った時に助けてくれる憧れの存在ですが、ついに救世主もシェアする時代になりました!

 

 

 

 

『レンタル救世主』

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毎週日曜 夜10:30より日本テレビにて放送

画像引用先:http://www.ntv.co.jp/renkyu/movie/index.html(公式HP)  

www.ntv.co.jp

あらすじ

(wikipediaより)

誰にも言えない悩み・困難を解決するには?どこに助けを叫べばいいか?

~今や、あなただけの「救世主」が、電話一本で有料スポット契約でレンタルできる時代です。

期間限定・有料契約で、依頼人のあらゆる問題を解決していく「レンタル救世主」たちが、訳ありの依頼者たちの問題を全身全力全霊で体を張って解決していくストーリーである。

 

 ヒーローをレンタルできてしまうなんて、まさにシェアリングサービスですね!

 

 

 

 

 

 

 

身体のシェアリング!?

まさか身体のシェアリングからあんなに感動的な結末を迎えるだなんて、

 

 

 

 

君の名は。

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新海誠監督の長編アニメーション映画2016年8月26日公開。 

画像引用先:https://www.youtube.com/watch?v=k4xGqY5IDBE(公式トレーラー)

www.kiminona.com

 

あらすじ

千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。「来世は東京のイケメン男子にしてくださーーーい!!!」そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。見慣れない部屋、見知らぬ友人、戸惑いながらも、念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。「不思議な夢……。」一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだー。彼らが体験した夢の秘密とは?

 

 

寝ている間に身体が入れ替わっている、これはある意味身体のシェアリングですね。

二人が身体をシェアしていなかったら、きっと世界は大変なことになってましたね。。

 

シェアは世界を救うんですね!

 

ちょっとふざけすぎました。  

次回は真面目に書きます。

第4回 シェアリングエコノミーの可能性

目次

・既存の経済概念について

 1. 資本主義の登場

 2. 社会主義の台頭

 3. 資本主義、社会主義の利点、欠点

・共有経済(シェアリングエコノミー)がもたらす可能性

 

 

 

今回はちょっと経済学的な視点からシェアリングエコノミーを見てみます。

その前に、まずはちょっとだけ経済のお話。

 

既存の経済概念について

資本主義と社会主義の違いはご存知でしょうか?

そんなもの知ってるよ、という方は読み飛ばしてください。

 

1.資本主義の登場

資本主義の経済理論は、18世紀後半イギリスで起きた産業革命をきっかけに成立しました。

資本主義の特徴は自由競争により経済活動を行えば、社会全体の利益も増大していくという考えに基づいているという点です。

また、個人や企業が生産手段を保有し、労働者を雇うことで生産を行い、生産された製品を市場で販売します。

特に国家の介入がなくても市場の原理に任せていれば、需要と供給のバランスによって自然と市場価格が決まり、

生産者の生産量と消費者の購入量が決定されるという考え方が「市場経済」と呼ばれます。

この考え方の元では、経済活動を行うほど、富を得るチャンスがあるということになります。

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2.社会主義の台頭

しかし、19世紀後半になると、不況による失業や貧富の差の拡大といった資本主義経済の弊害が明らかになります。

ドイツの経済学者のマルクスはこの資本主義経済の抱える矛盾を指摘し、社会主義経済を提唱しました。

社会主義経済の元では、個人、企業による私有財産制と利潤の追求は否定され、国家や地方団体、協同組合などによって生産手段が公有されます。

資本家、労働者という階級を廃し、すべての人を労働者として平等に扱う社会を目指したのです。

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これによって経済の問題点は解決されたように思われました。しかし国が管理した通りに経済活動が行われるため、労働者がいくら頑張っても賃金が上がらなくなってしまいました。

その結果として労働者の労働意欲を奪い、生産性を低下させ、経済が停滞してしまいました。

 

 

3. 資本主義、社会主義の利点、欠点

以上の事から、資本主義と社会主義のそれぞれの利点、欠点は以下のようにまとめられます。

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共有経済(シェアリングエコノミー)がもたらす可能性

それぞれの経済のメリット、デメリットを見たところで、本題のシェアリングエコノミーの可能性について見てみましょう。 

結論から言いますと、

シェアリングエコノミーは資本主義、社会主義双方への期待を満たすことができる

可能性があります。

 

富を多く持っている市民は、今まで企業が提供する商品、サービスを得るために多くの資産を使っていました。

しかし、シェアサービスを利用すると、富を持たざる市民に料金を支払うことになります。

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今まで企業に対して支払っていたものを、直接別の消費者に還元することで、

企業側が享受していた恩恵を、消費者間の格差の是正に利用することができます

 

例えば、uberのドライバーがライダーから料金を支払われるごとに、またはairbnbのホストがゲストから宿泊料を支払われるごとに、社会的格差は是正されていきます。 

 

このようにしてシェアリングエコノミーは、資本主義経済の自由競争を実現しつつ、社会主義経済の示す平等な社会を実現に近づけることが出来るのではないでしょうか。

 

 

 

第3回 なぜいまシェアリングエコノミーは流行っているのか

 

目次

・シェアリングエコノミーがこの時代にバズってるのはなぜか?

  1. スマホの登場 

       2. 資本主義の限界

       3. 失われたつながり

 

 

シェアリングエコノミーがこの時代にバズってるのはなぜか?

シェアリングエコノミーは2010年よりも前に、新しい潮流として生まれました。

このタイミングでこの流れが生まれたのは、大きく分けて3つの理由があると考えています。

 

 

スマホの登場

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例えばUberを例にとってみると、このサービスはスマホなしには成り立たないサービスであることが分かります。

「移動したい」というニーズが発生するのは、家の中ではなく外出中であることが圧倒的に多いことので、スマホを持っていることが大前提となります。

そもそもUberでは、PCで配車をすること自体できません。

 

また、ヤフオク!が1998年に登場して以来、ずっとP2P売買サービスを牛耳っていたにも関わらず、なぜメルカリは華麗に市場をひっくり返すことができたのでしょうか。

いくつか理由はあると思いますが、一番はヤフオクがPCでの取引を前提をしていたのに対して、

メルカリはPCではなく、スマホでの取引に特化したためだと考えています。(メルカリはPCでの出品は不可)

ヤフオクで出品したことのある方はお分かりになるかと思いますが、

カメラで写真撮影し、PCに取り込んで、フォルダからアップロードをするというのは、

言葉で聞く以上に面倒くさいものです。

一方のメルカリは、スマホをメインとすることで、facebookで近況をシェアするかのごとく簡単に「モノのシェア」を可能にしてしまったのです。

スマホの登場によって、日常の中で突発的に生じるニーズに対して、オンデマンドにサービスを提供することが可能となったのです。

 

 

②資本主義の限界

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経済的な視点から見ると、 資本主義の限界もシェアリングエコノミーの到来に影響していると思います。

2008年に全世界を震撼させた世界恐慌が発生して以来、人々の消費に対する姿勢は確実に変化を迎えました。

大量に消費することを良しとする風潮から、自分が必要とするものを最低限購入し、出費を抑えるという風潮に変わったのです。

音楽で言えば、CDに代わってダウンロード販売が主流になったり、またはPCソフトがパッケージ販売から月額のサブスクリプション型になったことなどがこれを表しています。

これはいつまでも続くと思っていた経済の成長が限界を迎え、人々が将来に対して漠然とした不安を抱き始めたことが原因ではないでしょうか。

 

 

③つながりたい現代人

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現代人は様々なものを簡単に安い価格を手に入れることで、物欲を満たし続けてきました。

しかし、その結果として残ったのは、使わなくなったガラクタの山です。

さらに欲しいものを買うことに忙しい現代人は、金銭的な裕福さ、便利さを求めるがあまり、何気ない人とのつながりを犠牲にしています。

自分の人生を豊かにする人との出会いよりも、出世のために会社の飲み会を優先するのです。

その虚しさに気づいてしまった現代人は、人とのつながりを求めるようになりました。

airbnbと同様に民泊プラットフォームを運営する「カウチサーフィン(CouchSurfing)」では、訪問後も交流を持つことを推奨をしており、訪問から生じた交友は1910万件※を超えるといいます。 ※ジェレミー・リフキン著「限界費用ゼロ社会」より 

誰かにシェアをすることは、「誰かと繋がることへの期待感」もはらんでいるのだと思います。

 

今回は私が思うシェアリングエコノミーが流行っている理由をまとめてみました。

以上のものはシェアリングエコノミーが現在盛り上がってきている理由の一部ですが、調べれば調べるほどシェアリングエコノミーがこの時代に流行っているのは必然のように感じられます。